仕事の本質って何だと思いますか。

私もヒューマンパワー研究所の所長の不破と同じように化粧品会社で、数年の間、人事をしていたことがあります(不破とは別の会社です)。

その大きな仕事は新卒採用でした。

いい人材が欲しいのはどの企業も同じなので、そういう意味では、他社との競争です。

しかしありがたいことに、ある程度知名度がある会社だったことと、化粧品会社なので女性社員が多く(当然管理職もいました)、その点で「頑張って働きたい」「仕事でやりがいを見つけたい」という女性の学生さんたちが集まってくれました。(もちろん性別は採用の基準にはしていませんが)

しかし、化粧品会社と言うと、派手でいつも雑誌に載っているようなおしゃれな会社生活をしている、それができると勘違いしている応募者も多く、他社の説明会では見られないような、白とかピンクのスーツを着た学生さんたちがたくさん受けに来ていました。

もちろん、私は個性がなくて一律の紺のスーツにするべきだとは、これっぽっちも思っていませんが、しかし逆の意味で彼女たちは勘違いしていたのだと思います。

化粧品会社と言っても扱っている商品が「美」に関わるものだと言うだけで、仕事自体はたとえば「ねじ」を作っている会社と変わりません(多分)。

化粧品の商品開発部などと言うと、その華やかな会社の最も華やかな部署のように思えるでしょうが、実際は地味にデータを集めて、地味に分析して、あるいは延々とデパートの売り場を何日もぐるぐる回ったり、ビルの屋上からスクランブル交差点を渡る女性の写真を撮って何百枚も壁に張って共通点を探したり(もちろん外部にはその写真は出しませんよ)、という働いた汗の分しかアウトプットにならない、というような仕事ばかりなのです。

顧客の先を行きすぎてもダメだし、ちょっとだけ先を行くトレンドがを探すのに、必死になって残業するわけです(残業代はもちろん出しますし、過労死レベルまで行かせませんけれど)。

結局仕事って(というとエラそうですが)、どこかしら体育会系のものだと思うのです。

朝はきれいな格好で出社しても、仕事が山場を迎えたらリップをぎゅっと拭って、髪の毛をひっつめにして、腕まくりして、ヒールもペタンコ靴に履き替える、というような(比喩ですよ、あくまで)ことでなければ、結局「いい仕事」はできないのです。

そういう意味では、先ほどは「ねじ」の会社にたとえましたが、写真のような溶接工の仕事も、化粧品会社の仕事も本質は同じなのです。

世間はそういうのを否定する雰囲気ですが。

それに耐えられない、あるいは乗り越えられない人は、残念ながら「仕事でやりがい」など感じられない、というのが人事だから言うわけではなく、35年働いた人間としての本音です。

なので、その辺を最初から勘違いしている白やピンクのスーツを着て面接に来る学生さんは、申し訳ありませんが、一発で不合格にしました。

今は、女性の就業支援セミナーの窓口や、このレディワクという企業様と求職者様のマッチングのサイトの運営をしていますが、その辺の「仕事の本質」みたいなことをキチンと教えない「就活セミナー」が世の中には多いように思います。

つまり面接では笑顔と感じの良い振る舞いが大切だ、というようなセミナーです。

こういうセミナーは、化粧品会社の面接なら白やピンクのスーツを着て行かなきゃ、ということを教えているのと同じで、とても表層的だと思います。

私たち、ヒューマンパワー研究所の開催するセミナーでは、もっと本質的な仕事への取り組み方、逆に言えば本当に企業様が欲しいと思う人材の要素をしっかり組み込んだものにしているつもりです。

いや、宣伝じゃなく、本当の話ですよ。